疑いなく、自分はそう信じているけれども、この北向きの窓から見えていた空は、近いうちに建つ隣のマンションに遮られて見えなくなる。

長らく、隣家の屋根が目の前にあった。
その屋根を白く染める雪。
嵐の訪れを告げる、叩きつける雨音。
開けた窓から聴こえてくる蝉の声。
近所で火事があった日、起きたら目の前にいた消防士。
そうしたものと別れを告げる日がやってくる。
ただ、この単層ガラス窓が夏は熱気を、冬は冷気を素通りさせ、ご近所の店の呼び込みやお子様の泣き声やお犬の鳴き声にも閉口する、情緒豊かな窓であったことも確かで。
そんなこともあって昨年導入した内窓がたいへん快適。冬の結露もかなり低減される当家の普請道楽の中でもランキング上位に入るマストバイアイテム。
ともあれ西向きのベランダは通りに面しているので、この家も当分は外界とつながっていられるだろう。
なんともまあ、都会はにぎやかしい。